賢者の石

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こんにちは、Nitya(ニーチャ)スタッフのchieです。

 

今回はナワラトゥナ(ナヴァラトナ)から少し離れて、石の伝説をお伝えしようと思います。

 

それは「賢者の石」。

 

 

 

 

 

 

私はナワラトゥナ(ナヴァラトナ)が正に「賢者の石」という名前に相応しいと思っているのですが...

 

宝石たちは、昔からその美しさ、素晴らしさ故に、たくさんの不思議な物語があります。

 

今日はこの「賢者の石」の伝説を紐解いていこうと思います。

 

 

 

「賢者の石」とは

 

「賢者の石」とは、中世ヨーロッパの錬金術師と呼ばれる研究者たちが、様々な金属を溶融したり、蒸留したりなどして作り出した、水銀を黄金に変えることのできる魔法の石だと言われています。

 

この魔法の石の力を応用すれば、この世の不完全なものを、全て完全なものに変える力があるのだとされていました。

 

もし人間の精神に用いれば、神のような霊性を持つことができるようになり、人間の肉体に応用すれば、あらゆる病気を追い払い、不老不死が手に入るのだと言われていたそうです。

また水銀を黄金に変えることができたのと同じように、「賢者の石」を使えば、鉛や錫のような金属も素晴らしい金へと変わることができるとされていました。

 

もちろん、そんな「賢者の石」を作り出すのはとても難しいことなので、錬金術師たちはこの賢者の石を作り出すために実験室に籠って過ごし、様々な金属を溶融したり、蒸留したりし続けるのですが、この「賢者の石」を作り出すことができた錬金術師は極稀だったと言われています。

 

 

 

「賢者の石」のレシピ

 

そんな「賢者の石」を作り出すことに成功したとされる有名な錬金術師がフランス人のニコラ・フラメル。

彼は「賢者の石」を使い、水銀を黄金に変えて巨万の富を築いたとされる人物です。

 

しかしそんなフラメルの職業は、錬金術師ではなく書店の従業員でした。

そして遺言書やお手紙、貴重な書籍などを美しい字で筆写する代筆業を営んでいたのだとか。

 

そんなフラメルがなぜ急に「賢者の石」を手に入れたとされる人物になったのか。

元々お金持ちではなかったフラメルが突然、14個の病院と3つの礼拝堂と7つの教会を設立し、慈善基金にお金を寄付したことから、町中でそのことが噂となったのだそうです。

 

フラメルは「賢者の石」を持っている...

 

 

 

実際、フラメルは自身の著作の「錬金術論文」の中で、「賢者の石」を作り出す貴重なレシピを見つけたことを書いているのだそうです。

 

 

 

 

 

 

ある時、本屋の仕事中に、金箔塗りで非常に古い大型の本に巡り会った。

 

その本はあまり見かけないような作りをしていて、その本のページに使われている紙は、当時一般的だった羊皮紙と呼ばれる紙ではなく、柔らかな若木の樹皮を薄く打ち延ばしたようなものだった。

 

また表紙は薄い銅板でできていて、それを手に取った時にとても不思議な本だと思った...

 

その本はヘブライ語で書かれていて、内容は寓意図(ぐういず)で記されていた...

 

 

寓意図(ぐういず)とは、当時の錬金術師たちが、秘密の研究や実験が誰かに盗まれないように使用している暗号のことです。

例えば、そこに雄と雌のドラゴンが書かれていた場合は、硫黄(空気と火)と水銀(水と土)を表すのだとか。

 

 

フラメルはこの本を解読しようと、ヘブライ語を読むことができる教師の知人たちに数ページづつ翻訳を頼んで、こつこつと本全体の翻訳を進めていったのだそうです。

たくさんのページを翻訳されることを恐れて、ヘブライ語のわかるユダヤ人を訪ね、遠くはスペインまで出向いていったのだとか。

 

ようやく本全体の翻訳が終わると、フラメルは実験室に籠りきりになり、そのレシピに沿って多くの金属を溶解したり蒸留したり。

作業を進めていくうちに、物質に変化が見られ、黒色→灰色→緑色→白色→オレンジ色となって、最後には赤色になり、とうとう「賢者の石」を作り出すことに成功したのだそうです。

 

そう、「賢者の石」は赤い色だったのです。(確かハリーポッターでも赤でしたね)

 

さらに1382年の1月17日のお昼ごろから、今度は、「賢者の石」を使って黄金を作り出すことに取りかかったのだとか。

水銀の中に、同じ量の「賢者の石」を入れたところ、たったそれだけで水銀が黄金に変わったことに驚いたフラメルは、一晩のうちに3度同じことを繰り返し、たった一晩で彼は巨万の富を築いたのだそうです。

 

 

 

追われる錬金術師

 

一晩でお金持ちとなり、たくさんの施設を作り慈善事業も行ったフラメルは、お金を持ってヨーロッパを抜け出し、妻と平穏に末長く暮らすために、再度、実験室に籠り「賢者の石」で不老不死の体を手に入れたと言われています。

 

当時は魔女狩りが行われていた中世の時代。

 

錬金術師たちも怪しい一種の魔法使いだとされることもしばしばで、ましてや噂の「賢者の石」を作り出したことが知られれば、命の危険があったのかもしれません。

 

フラメルとその妻は、その後まもなく自宅で死亡したとされていますが、実際は死亡したことにして国外へ逃亡したと言われています。

 

 

「賢者の石」で手に入れた不老不死の体で...

 

 

またフラメルがいなくなった後、フラメルの家には多くの錬金術師たちが忍び込み「賢者の石」の手がかりを探し回ったため、家は荒れ果ててしまったのだとか。

 

その後「賢者の石」を作ることに成功したものはいなかったそうです。

 

錬金術師ではなかったフラメルが本屋で働いていたために手にした幸運。

そうして富を築き不老不死を手に入れて、妻との長いランデブーのために旅立つなんて、ちょっと素敵なお話ですね。

 

 

中世ヨーロッパの研究者である錬金術師たちの究極の目標は、「不老不死の秘薬を作り出すこと」と「人間を作り出すこと」だったと言われています。

 

そう考えると「賢者の石」は、当時の研究者たちの目標の象徴のようなものだったのかもしれません。

 

賢者にしか作り出せないであろう、または賢者であれば、この世の完全なものを作り出すことができる。

 

そう考えていたのではないでしょうか。

 

 

 

 

Chie

 

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